第16章◎英語は幼少時から教育せよ

私には大学生の子供がいますが、英語の能力は、どう“ひいき目”に見ても、私が高校生の時より低いようです。と言っても、私は「自分の方が英語が堪能だ」と自慢しているわけではありません。むしろ苦手で、今なお苦しんでいます。私と同世代の人たちは、おそらく皆同様でしょう。その我々よりも、今の大学生は英語力が低いと嘆いているのです。そして、そうした大学生を送り出している、今の学校教育のあり方を憂いているのです。

先頃、楽天やユニクロ(ファーストリテイリング)が、社内の公用語を英語にすることを発表して話題になりました。その是非はともかく、世界を相手に商売をしなければならないこの時代、英語を使えることが必要不可欠であることは間違いありません。
「世界は英語を使う国ばかりではない」という声も聞こえてきます。確かに、人数は中国語の方が圧倒的に多いし、出版物に限って見ても、英語で書かれたものは半分以下(おそらく30%程度)でしょう。しかしITの世界となると、英語は80%を超えるのではないでしょうか。ちょっと考えてみて下さい。ウィンドウズ、インターネット、ブログ……コンピュータ関連の用語は、すべて英語です。そもそも「コンピュータ」からして英語。日本語で「電子計算機」なんて言う人はいません。そして、コンピュータを動かすソフトウェアを構築するプログラム言語は、すべて英語がベースです。
ITの世界で他の言語が入る余地はほとんどありません。既に英語が共通言語になっているのです。それはやがて他の分野にも広がり、すべての分野・すべての世界で、英語が共通言語になることでしょう。その日がやって来るのは、そう遠くないと私は考えています。

古典の授業なんて要らない

「グローバル化」「ボーダーレス」といった言葉が日本語になって随分経ちますが、その間に日本人の英語力が上がったという話は聞きません。「国力」を考えた時、また「選択と集中」を考えた時、我が国の言語教育のプライオリティーは、日本語(国語)より英語を一番にせざるを得ない時期に来ているのではないでしょうか。少なくとも、古文や漢文を高校で教える必要はないと思います。大学の専門課程に任せればよろしい。寂しい話と感じられるかもしれませんが、そういう選択をせざるを得ない時期が来ていると思います。

現在、日本人は英語の習得に、どれほど時間をかけていることか。もし、成長とともに自然と英語を覚えられるなら、中学、高校、大学で英語を教える必要はなくなります。
それゆえ、英会話は幼い頃から身に付けさせるべきだと思います。NHKも教育テレビの幼児番組「おかあさんといっしょ」を英語で始める時が来ていると思います。幼児向けアニメもすべて英語に! 小学校に入ってからは、コンピュータ関連で使われる英語(通常の英語とは、いささか異なる「米語」です)を理解させる教育も始めるべきでしょう。
とにかく、幼少時から英語を身に付けさせるべきです。この方策は必ず、20年後のわが国の国力をアップさせます。これこそ、本当の意味での「ゆとり教育」です。

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