第5章◎消費税に「適用外」を設けてはならない

消費税について論議すると、必ず聞こえてくるのが「せめて食料品は無税にせよ」「教育費に税をかけるのはいかがなものか」といった声です。全くの「ナンセンス」です!
食料品は無税にせよ? では伺いますが、キャビアはどうするのですか? フォアグラはどうなのですか? キャビアなど、小さな缶で数万円もする高級品があります。これだって立派な食料品。やはり「無税にせよ」と言うのでしょうか。

「そんな贅沢な物を庶民は口にしない。日常の食卓に並ぶ食料品に消費税をかけるなということだ」という声も上がりそうです。では松茸は? 気軽に買うには躊躇する価格ですが、これくらいなら「たまには…」と食べる家庭もあるでしょう。一方で「食卓に並んだことなんてない」という家庭も多いはず。さて、松茸は庶民に無縁の高級食材なのでしょうか。
まだあります。アイスクリームは、コンビニで売っている100円程度のものから、何千円もする高級品まで幅広い。我々が主食としている米にだって、高級ブランド米があります。これらを「贅沢品」と「そうでない品」に分ける“境界線”はどこに引くのでしょう?

無理です! 価値観は人によって違うのです。ある人にとっての「普通」が、別の人に「贅沢」と映ることは多々あります。消費税をかける食料品、かけない食料品といった区分をしたら、社会は大混乱に陥ります。価値観の対立にとどまらず、格差間の闘争に拡大してしまうかもしれません。線引きが難しいことはやってはいけないのです!
また、線引きを行おうとすれば、必ず、関連する業界・団体が政治家へすり寄るでしょう。「ウチのものは無税にして」と。そして汚職へと流れていく……同じようなことを、我々は何度目にしてきたことか! 歴史は繰り返すのです。

「逆進性」の解消には「定額給付金」を

消費税は全ての消費に一律にかけるべきです! キャビアだろうがタラコだろうが、区分けなくかける。もう一度言いますが、適用の例外は、絶対に作るべきではありません!

消費税の「逆進性」についての指摘もありますが、これは別の対応策を実施すればいい。「定額給付金」も一案です。消費税1%増に対し、国民1人あたり年間3,000円程度を給付すれば、贅沢でない食料品に対する課税を控除したのと同じことになるでしょう。
こうした提案をすると「金持ちにも配るのか」「給付の手続きに係る費用が何億円にもなる」といった批判の声が上がるのは間違いありません。しかし、私は思います。金持ちにも配ったっていいじゃありませんか! 手続きに費用を多少かけても「問題なし」。だって「必要な事」なんですから!
ただ、いざ実現しようとすると、感情的に何にでも反対する集団への対応が容易ではないでしょう。これについては、国民が賢くなることが重要。マスコミも感情論をあおることなく、理論を冷静に伝えてもらいたいものです。

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